ブログ
魂のこよみ43週〈魂の火力が強まる〉
〈魂のこよみ・43週〉は、厳しい冬の最中に読むと、とても力強く響いてきます。
読むと、いつも心に「熱」「火」の力を絶やさぬようにしたい・・と思うのです。
それがリアルに感じられるのも、冬の寒さにおいてこそ!
思い起こせば20年前、初めてオイリュトミーソロ公演「闇から光」を東京と那須で開いた時、〈魂のこよみ・43週〉の言葉をオイリュトミーで動いたのでした。
そこから何か新しい衝動を、20年前の私は受け取ったのでしょうか。
その翌年、東京から那須へと移住したのでした。
雪の奏身舎
銀世界の木立
●魂は働くことで輝く!
厳冬期に〈魂のこよみ 〉43週を読むと、スロバキア民話「12つきのおくりもの」を思い起こします。
【あらすじ】
主人公のマルーシカは継子。いつも母さんや姉から辛くあたられる。
姉のホレーナは、一日中怠けて遊んでばかりいるのに、マルーシカは、朝から晩まで働かなければならない。
水を汲んだり、お掃除をしたり、お料理をしたり、薪を割ったり・・・休み暇もないほど。
けれど、マルーシカは少しも嫌がらず、一生懸命に働けば働くほど、どんどん美しくなってゆく・・・・。
継母たちは美しいマルーシカを憎み、寒い冬の森でスミレを摘んでくるようにと命じた。
泣きながら雪に埋もれた深い森にはいっていくと、大きなたき火を囲んだ12の月の精に出会い、12月の精たちが杖をふるうと、冬は春に、夏に、秋に…。季節がみるみるうちに変容するのです。
そして働き者のマルーシカは最後に幸せをつかみます!
しかし、怠け者のホレーナは、冬の森に閉じ込められたまま・・・
・・・大自然の恩寵と畏怖を伝えるスロバキア民話。
43週では「心の働きを通して実在の確かさを与える」とありますが
私たちはこの世で働くことで、意志を通して世界に具体的に関わることができます。
地上の厳しい現実世界において、一生懸命に労働し、私たちの魂は鍛えられ、より輝かせることができるのです。
魂の本来の輝きが現れることをメルヘンでは、「美しい」と表現しています。
●内面が現れること=「美しいこと」
メルヘンの中では「真善美」はセットのようです。✨
「美だけ」しかない、というのは、むしろ「悪」に近いのかもしれませんね。
例えば白雪姫の継母は、綺麗ですが、高慢で妬み深いキャラクターです。
「世界で一番美しいのは誰?」と鏡に尋ね、「白雪姫は千倍きれい!」と答えが返ってくると怒り狂い、物売りに化けて毒を使って姫を殺そうと企む、・・・
そんな、継母のお妃は美しいのは上部だけで、魂は醜かったのでしょう。
働けば働くほど、美しく、光り輝く・・・それは、地上の現実としっかり格闘することで、その人の本質が磨かれ、ますます自分らしくなってゆくから。
隠れていた内面が外に現れ出て、光り輝くことで、人は一層美しく見えるのではないでしょうか!
逆に、その人の本質が見えなくなると、それは「醜い=見にくい」のです。
自分らしさが外に出せるように、自分の本質=自我が輝くように・・そうありたいですね!
子どもの教育においても、その子らしさが否定されてしまうと、自我が育ちません。
なので、気質による違いをシュタイナー教育では、とても大切にします。
●魂の火力が強まる
奏身舎では、暖房に薪ストーブを使っています。
リモコンで温度調整できるエアコンと違い、暖をとるのも、働かなければならない。
薪割り、小枝集め。そして火を絶やさぬためには、一生懸命に、薪をくべなければならないので手間はかかります。
でも、本物の火のあたたかさは格別で、心も体も芯からあたためてくれるのです。
そう、みんなの喜ぶ顔を思い浮かべると、多少の手間がかかっても
薪ストーブ生活はやめられないですね!
シュタイナーの、とある本で、意志を持続するために「自らを薪にして燃やさなければ・・・」という表現があったのですが、
魂の熱がないとネガティブな気分=虚無の冷たさに負けてしまいます。
何かやろうという気持ちが起きず、
一歩も進めなくなってしまいます。
こんなことして、何の意味があるの?
どうせ、無理に決まってる。
大多数に逆らうのは無駄骨・・・。
でも、そこに、魂の熱があれば・・・
熱は周りに伝わり、少しずつ現実が変わってゆくかもしれません。
そう、熱は変化を可能にする力。
奇跡を起こさせる力といっても良い。
その魂の火力を強める冬の恵みを、43週は語っています。
真冬の凍てつく寒さの中で、私たちの精神ははっきりと目覚め、
心を動かし、生き生きと働かせることを通して、
私も、宇宙も、今ここに存在している実感が湧いてくる。
私たちの魂の中でも 自らを薪にして魂の焔を熱く燃やし続けることで
虚無の冷たさに打ち勝つことができるのです。
魂のこよみ43週 高橋巖 訳
深い冬の中で
霊の真存在が目覚める。
それは心の働きを通して
宇宙の現象に 実在の確かさを与える。
人間の内部では魂の火力が強まり、
宇宙の冷気と戦う。