ブログ
音と色は、世界を開く扉
オイリュトミー講師/渋谷智栄子 と 水彩講師/吉澤明子
窓辺で語り合う私たち二人。これまでも、メルヘンや神話のコラボ講座を開いてきました。
なぜ、私たちが一緒に活動しているのか?
これも運命的な「出会い」があったから、としか言いようがありません。
◉引っ越ししたらご近所だった
大先輩である吉澤明子さんは、言わずと知れた、シュタイナーの水彩教育の草分け的存在。
1999年頃に那須に移住され、
私は7年後、2006年東京から那須に移住し、3年目の2009年に那須・奏身舎を建てたのですが、
そこは、何と偶然、吉澤さんの家のご近所でした!
(いえ、これも偶然ではなく、必然だったのでしょう)
◉芸術は感覚を統合し、内側から癒す
オイリュトミーと水彩を教える私たち二人は、ハンディある人たちとの芸術指導にも長らく携わってきました。
芸術といっても、単に上手に描いたり、人より美しく動いたりするのが目的ではなく、
・「教育は治療である」シュタイナー
・「自我を目覚めさせ、感覚を統合する」 ミヒャエラ・グレックラー
これらの方の言葉にあるように、 人を内側から癒す教育芸術なのです。そこには優劣はありません。
また、音と色、素材は異なっても、オイリュトミーで見せる動きと水彩で描く絵には、大きな関連性があります。
聴覚と視覚、聞くことと見ること・・
これらは補い合って、互いの感覚をより育むものなのかもしれません。
◉ハンディある子どもとの運命的な出会い
それは私たちにとって、運命としか言いようのない出会いでした。
私の場合、オイリュトミー講師として独り立ちし、最初に出会ったのが ハンディを持つ子どもたちでした。
通常のやり方では、上手くいかず、
目の前にいる子どもたちに、とにかく伝わるものをと、必死に考え編み出し、生まれた指導、授業法。
現場で生まれた指導法は、シュタイナーの治療教育講義やシュタイナー教育に関する文献を読み、照らし合わせると、
改めて「この方針で良いのだ!」と裏付けを得たのでした。
また、「ことば」とは何か?ということも、
ハンディを持つ人たちとの出会いによって、大きな気づきを得ました。
◉教育芸術講座として発展
この当時の授業体験が、
後のオイリュトミー指導の土台となり、また、発音体感をベースとした手遊びや、歌、運動遊びは、
「教育芸術講座」として発展してゆき、各地で保育士、教師、発達支援教育・・子どもに関わる多くの方が受講されました。
・イシスの会「教育オイリュトミー指導者養成講座」 東京2016年〜2019年
・ソフィア教育芸術研究会 東京 2019年〜2021年
〃 那須 2022年〜2023年
・シュタイナー教育芸術アクティビティ指導者養成講座 みんなのシュタイナー主催
東京 2022〜2024年
✳︎2025年からスタートする、おひさまの丘宮城シュタイナー学園「教員養成講座」のコースリーダーとして、
渋谷は、オイリュトミーはじめ、教育芸術の理論と実践を教授させていただくこととなりました。
▼教員養成講座についてのFB記事はこちらを
詳細については近日中にUPする予定です。
◉〈那須シュタイナー自然学校〉での講師として
那須地域に住む私たちは、25年ほど前からシュタイナー教育を元にした週末クラスで子どもたちに教えています。
2年前から〈那須シュタイナー自然学校〉という月1の子どもクラスを、共同体として父母と一緒に運営し、
通常の授業だけではなく、夏、冬のイベントや、
2024年10月から初のオンライン読書勉強会も開催し、日本はもとより海外からも参加されたのでした。
▼那須シュタイナー自然学校 FB記事はこちら
▼りんごロウソクのクリスマス ご案内
http://sousinsya.com/info/5956338
◉不登校の小中学生34万人、過去最多!
ある日、新聞を開くと「不登校の小中学生340,000人、過去最多!」
の見出しが踊っていました。
続いて 「重大いじめ」初の1000件超え 23年度、文科省調査とのキャプションが!
※記事より抜粋:
文部科学省は31日、2023年度に全国の小中学校で30日以上欠席した不登校の児童生徒は11年連続で増加し、全体の3.7%にあたる34万6,482人で最多を更新したとの調査結果を発表した。22年度から47,434人(15.9%)増えた。 小中高などが認知したいじめは732,568件で、前年度比7.4 %増。うち身体的被害や長期欠席等が生じた「重大事態」は、1306件で、初めて千件を超えた。
その翌日のこと、私たち二人は奏身舎でミーティングしました。
これも、予め予定していたのではなく、クラスの日にちをうっかり間違えてやってきた吉澤さんに
せっかくだから、お話ししませんかとお誘いしたのでした。☺️
◉二人の会話より
〜〜〜〜〜〜
C:昨日の新聞では、不登校の小中学生が340,000人で、過去最多なんですって。
「重大いじめ」初の1000件超えだというし。
学校に行くことに不安を感じる子がますます増えてる。
学校だけではなく、大人や社会に対して信頼を失っている子が多いような気がします
A:今の世の中を見ると、自然も人間も壊れかかっていますね。暴風雨や年々酷くなる夏の異常な暑さなど、環境破壊による気候変動も、目を覆いたくなるほどになってるしね。
C:国家間の紛争も21世紀になっても、どうして終わらないのかな?
第2次世界大戦で、原爆の恐ろしさがわかったはずなのに、より一層残酷な方向に行ってるような気がします。
A:核兵器を筆頭に、大量破壊兵器がどんどん作られている。
湯水のように税金を使って・・
C:アタマだけの冷たい知性だけで考えると、どんな残酷なこともできてしまうのかもしれませんね。
A:そうね、アタマだけ使っていると、現実の生活から乖離し、命ある方向ではなく、
破滅的な方に突っ走ってしまうんじゃないかな。
C:シュタイナーも頭だけ使っていると動物的になってしまうと言っていましたね。
A:そうそう、
心を動かさないと、人間は人間らしく生きられないですね。
C:本当に!
だからこそ、芸術が必要なんですね!!
A:心と体を動かす芸術体験は、人間に生きた叡智と生命力を与えてくれますね。
それは、床間の飾りのようなものではなく、根源的なもののはず。
C:優劣は全く関係なく、
どんな人にも、美を感じるセンサーがあるからね。
「真善美」を感じるセンサー。
そこが機能すれば、自ずと調和を求めたくなりますよね。
A:まず、人間とはどんな存在か?を知らないといけない。
シュタイナーの3分説による人間観〈体・魂・霊〉は本当に大事ですねー。
C:本当にそうですね!
美しいものの体験は、魂を内側から動かしますね。
感覚という根っこを通して、美の体験が、生きる糧の養分となり、
魂(心)と結びつくことで、
高貴な精神の世界にも羽ばたける。
A & C:芸術の素晴らしさ、大切さを、こんな時代だからもっと多くの人に伝えたいですね!
◉音と色は世界を開く扉
音と色の体験は、世界を開く扉であり、自分と出会うための「根源」。
その源では、あらゆる命、植物、動物、鉱物、もちろん人間も繋がっており、人類共通の財産といえます。
だから、音と色の体験は、大きな〈カシコイ コトバ〉を知ることとも言えるのです。
ヘレン・ケラーが「水」という言葉の体験を通して、世界と出会い、知性が目覚めたように。
その〈カシコイ コトバ〉を、シュタイナー教育ではオイリュトミーや水彩、フォルメンで体験し、学びます。
この学びは、繰り返し体験することで血肉となり、人を変容させる生きた叡智の力となるのです。
きっと、どんな状況に置かれても、自分で真っ直ぐ立ち、希望を失わずに生きてゆくエネルギーをそこから汲み出せることでしょう。
◉危機の時代にこそ必要な、芸術の癒し
危機の時代だからこそ、芸術による真の癒し、本当の人間観に裏付けられた教育芸術が必要です。
だからこそ、
これまでを振り返って、芸術の授業を通して起こった、数々の奇跡や、心震える感動の場面、
そして今、起こっている変容のドラマを、言葉でも書き記し、広く世の中に伝えてゆきたいと切実に思いました。
ということで、シュタイナー教育の柱でもある「オイリュトミー」と「水彩」二つの視点から
・これまで出会った子ども達との奇跡の場面
・聞くこと、見ることの相互作用
・芸術の持つ大きな可能性
・オイリュトミーと水彩の基本
・「教育は治療である」の背景
これらシュタイナーの教育芸術の素晴らしさについて、言語化してまとめ、これから世の中に広く伝えていきたいと思います!